劇付随音楽「約束どおり殺された」作品31

フェドセーエフ指揮/チャイコフスキー記念交響楽団

2000.06.06-10 Saison Russe

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併録の「馬あぶ」と併せて素晴らしい重厚感と説得力のある演奏と録音、そして真剣な内容に仕上がっており、バランスの良いオーケストラのサウンドも含めて、文句のない名盤である。フェドセーエフとモスクワ放送響(チャイコフスキー響)の鍛錬された技術とコンビネーションが伝わってくる。同指揮者のショスタコーヴィチの録音の中でも際立っている。ジャズ組2番問題の立役者でもあるマクバニーによる編曲ではあるものの、ハイハットシンバルやブラシ、リム打ちを用いてのドラムセットのようなリズム、そして初期の劇伴に多用されるミュージックソウは、ショスタコーヴィチの遊び心が感じられて面白い。なお、この劇は台本が失われているとのことで、「条件付きの死者」、「殺されたはず」、「仮定殺人」などの和訳も見られるが、訓練中に死亡した軍人を描いているとのこと。ファーイ『ある生涯』の翻訳にならい、拙稿では「約束どおり殺された」としておく。

エルダー指揮/バーミンガム市交響楽団

1992.12.16-18 United

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マクバニー編曲による19曲版を全曲収録した貴重なディスク。指揮者もオーケストラも一流だが、上記フェドセーエフ盤を聴いてしまうと、資料的価値を超えるほどの魅力は感じられない。とは言え、19曲の全体像は当盤でしか聴くことができないので、手元に置いておきたい一枚。