映画音楽「先駆者の道」(ピロゴフ)作品76/76a
M.ショスタコーヴィチ指揮/ボリショイ劇場管弦楽団
1966 BMG/Melodiya
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これはスゴイ!ほとんど全てにおいて理想的と言っていい素晴らしい演奏。5曲とも、いずれも最高の演奏を聴かせてくれる。ショスタコーヴィチに求めるサウンドをそのまま表してくれている。速い曲も、遅い曲も、ワルツも、まさにこれだという。金管の強奏も実にこの曲に馴染んでいる。スネアをはじめとした前のめりの打楽器、木琴の切れ味も強烈で、キラキラと鳴るグロッケンも素晴らしい。指揮者マクシムの偉業であり、これほどまでに熱量のある演奏はそうはあるまい。なお、コージンツェフによるこの映画は日本でも公開されたようだ。その際の映画邦題が『先駆者の道』。「ピロゴフ」は原題で、同映画の主人公であり実在の医師の名とのこと。
シャイー指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
1998.09.10-11 Decca
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収録はスケルツォと終曲のみの2曲だが、非常に存在感がある。このコンセプト・アルバムの最後を飾るのが終曲であり、このスピード感、壮大でメロディアスかつ戦闘的な曲想には興奮する。個人的には、私が学生時代に車でよく聴いていたディスクであり思い入れ深い。「モスクワ市チェリョームシキ地区」の「モスクワ疾走」と併せて、ピロゴフはドライブに合う曲である。
セレブリエール指揮/ベルギー放送交響楽団
1987 Warner
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組曲版5曲。セレブリエールの映画音楽録音全般に言えることだが、どこか乾いた音色と録音に味がある。やや雑な感は否めないものの、しっかりとした造形。それにしても、第2曲「情景」はいくらなんでも遅い。楽譜を見ると、アレグロの3/4なので、解釈はあるにせよ疾走感がほしいところ。